Aruba 無線lan最適化項目
ArubaのWLCはデフォルトで無線環境を最適化してくれますが、導入する案件に対して、以下のパラメータを最適化することで、スループットの向上が期待できます。
(1)チャネルボンディング
無線LANが高密度な環境ではボンディング機能は利用しないほうが、高いSNR値を提供できます。また、チャネル幅が広いほうが衝突確立があがり、リトライ回数が増えてしまいます。SNR値は同一レートでも40Mhzより3db、80Mhzより6dbも高くなります。
(2)チャネル設計
DFSチャンネルは安定した無線環境の確立のため除外したほうが良いです。また、2.4Ghzを使用する場合、利用できるchが3つしかないため固定化も検討して下さい。
(3)低データレートおよび低ビーコンレート無効化
低レート通信ほど通信処理に時間がかかり、Airtimeを消費してしまいますが、BC/MCは最低レートを使用します。使用する低レートを絞ることでAirtimeの有効活用が見込めます。端末移動時に低レートで長距離接続してしまうことを抑制します。
(4)max-retriesの制限
送信パケットに対するAck応答がなかった場合の最大リトライ回数を制限することで、リトライパケットの増加によるAirtimeの消費を抑制します。
(5)セルサイズの縮小
通信していないにも関わらず、ChannelBusyが高い場合、周辺AP等の干渉が起きている可能性が高いです。Cell Size Reductionを設定することで干渉範囲を縮小し、より多くのAirtimeを使用可能にします。
(6)BC/MCの最適化
前述のとおりBC/MCは低レートで送信されます。一般的に通信距離とデータレートは反比例するため、クライアントがAPに近い環境の場合、BC/MCをユニキャストに変換することで、伝送効率をあげることが可能です。ただし、APから遠く離れたクライアントに高レートで送信すると再送が多発し、伝送効率が低下してしまいます。上記から(7)の閾値と合わせて値を最適化する必要があります。
(7)Local Probe Request Threshold
複数APが存在する環境では、どのAPに帰属するかは端末依存です。より最適なAPに帰属させるため、SNRの閾値を指定することで、高いSNR値のAPに誘導することができます。(20~25が推奨値です)
○Traffic Management Profileの設定例
・shaping-poloicy preferred-access
⇒802.11nクライアントを非802.11nクライアントより優先します。
○VAPの設定例
・dynamic-mcast-optimization
⇒マルチキャストフレームをユニキャストに変換します。
・dynamic-mcast-optimization-thresh 80
⇒マルチキャストフレームをユニキャストに変換する閾値を指定します。
・broadcast-filter all
⇒無線端末へのARP/DHCPはユニキャストへ変換し、GARPは変換しません。
上記以外のブロードキャスト、マルチキャストを無線に流しません。
BC/MCを使用するアプリケーションがある場合は設定できません。
・broadcast-filter arp
⇒無線端末へのARP/DHCPはユニキャストへ変換します。
・deny-inter-user-traffic
⇒無線端末同士の通信を拒否します。
○SSID Profileの設定例
・a-basic-rates 24
⇒802.11aの制御通信用レートを24にします。
・a-tx-rates 24 36 48 54
⇒802.11aのデータ通信用レートを24,36,48.54にします。
・g-basic-rates 18
⇒802.11gの制御通信用レートを18にします。
・g-tx-rates 18 24 36 48 54
⇒802.11gのデータ通信用レートを18,24,36,48.54にします。
・max-retries 10
⇒送信パケットに対するAck無応答時の最大リトライ回数を10回にします。
・max-clients 20
⇒接続可能な無線クライアント数を20台にします。
・local-probe-req-thresh 25
⇒SNR値が25以下の場合は接続を拒否します。
・ mcast-rate-opt
⇒マルチキャストレートを高く設定します。
・g-beacon-rate 18
⇒802.11gのビーコン送信レートを18にします。
・a-beacon-rate 24
⇒802.11aのビーコン送信レートを24にします。
・multicast-rate 24
⇒Voipトラフィックのみ、送信レートを24にします。
○HT SSID Profileの設定例
・no 40MHz-enable
⇒40Mhzの使用を無効にします。
・no 80MHz-enable
⇒80Mhzの使用を無効にします。
○ARM Profileの設定例(2.4Ghzと5Ghz別々に作成)
・assignment maintain
⇒APはARMの最適化後に現在のチャネルと電力を維持します。
・40MHz-allowed-bands None
⇒40Mhzの使用を制限
・no 80MHz-support
⇒80Mhzの使用を制限
・min-tx-power 14
⇒最小送信電力を14にします。(11gの方が6~9dB弱く設定します)
・max-tx-power 22
⇒最大送信電力を22にします。(11gの方が6~9dB弱く設定します)
○Radio Profileの設定例
・no dot11b-protection
⇒802.11bクライアントの保護を無効化します。(11g Profileのみ)
・very-high-throughput-rates-enable(11a Profileのみ)
⇒802.11acを有効化します。
・cell-size-reduction 15
⇒セルサイズを15にします。
・arm-profile “Profile name”
⇒最適化したARM Profileを指定します。