ネットワークエンジニアの備忘録

トラブルや気になった点をメモしておきます。

Stack構成のメリットとデメリット

ネットワーク機器のStack構成は2台以上のスイッチを論理的に1台に束ねる技術です。個人的にStack構成の最も優れていると思うところは、Stack構成を組むことで論理的に1台に出来るため、ループフリー構成となりSTPを使用しなくて良くなるところです。また、管理するConfigも1台となり、設計がシンプル化出来ます。

以前は、提案する際に可能であればStack構成を推奨していましたが、ISP事業者としてバックボーンの運用を行うようになり、考え方が変化してきました。

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まずスタック構成のデメリットとして、Stack構成を組むスイッチではすべてのスタックメンバーでバージョンを合わせるため、ファームウェアにバグがあった場合に両系に影響が出てしまいます。バグが通信に大きく影響があるレベルであれば、完全に停止してしまう可能性もあります。そのため、たとえばルーティングを片寄して迂回を行い、片系ずつバージョンアップするなど問題発生時の経路迂回が難しく、完全な冗長性を担保することが出来ません。

また、スタックケーブルの半刺しやスタックモジュール障害時にリブートを繰り返してバタついてしまうケースも存在します。さらにOSPFやBGPのプロセスも一度切れて再接続をするケースもあるため、機器障害時の通信断時間がシビアに求められる環境では、L3機能を使う場合はStack構成を避けることも検討すべきだと感じました。

Stack機能は非常に便利ですが、運用まで視野に入れる場合はファームウェアのアップデート手順や障害時の経路迂回など、どの程度の通信断時間が許容されるかを考慮した導入検討が必要です。