ネットワークエンジニアの備忘録

トラブルや気になった点をメモしておきます。

機械学習型セキュリティソフトの注意

先日行われた情報セキュリティEXPOで興味深い説明を受けたのでメモを残しておきます。マルウェア対策としては機械学習型と振る舞い検知型が一般的です。最近は機械学習型のセキュリティソフトがトレンドなのか、各メーカがこぞって製品を出しています、どのメーカも検出率99.9%など非常に高い数値を出していて凄いな~と考えていたのですが注意事項があるそうです。まず一般的な機械学習型が検出可能なマルウェア実行ファイルのみ対象だそうです。つまり実行メモリやレジストリに格納されるようなファイルレスマルウェアには無力な場合があるそうです。各メーカを比較する際は、何を対象とした検出率であるか確認する必要があります。

ファイルレスマルウェアに対応するためにはシグネチャベースによる振る舞い検知が有効ですが、機械学習型との違いは既存のマルウェアにしか効果が無いことです。シグネチャにマッチしないゼロデイ攻撃には対処できません

また、機械学習型/振る舞い検知型に関わらずランサムウェア対策は別途行う必要があります。仮にランサムウェアを検知出来たとしても、プロセスを停止する前に一部のファイルが暗号化される可能性が高いためです。定期的なバックアップを取って復元するのか、ランサムウェアが最初に暗号化しがちな最も新しくアクセスしたファイルと過去にアクセスしたファイルにダミーファイルを用意し、ダミーファイルが暗号化された時点でプロセスをとめるような専用製品を使った対策を検討して下さい。Windowsはデフォルトでバックアップファイルを保持していますが、最近のランサムウェアはこのバックアップを消してから暗号化を開始するので、対策をしないと無力です。

今後のセキュリティ対策としてはゼロデイ対策として機械学習を、ファイルレスマルウェア対策として振る舞い検知型を、ランサムウェア対策に暗号化ブロックとバックアップの複合的なセキュリティ対策が必要だと思いました。